原作について
- ■原作
- 2009年春の紫綬褒章を受章した、山口県出身の芥川賞作家・髙樹のぶ子の自伝的小説「マイマイ新子」が原作。
「クロワッサン」誌(マガジンハウス社刊)に2003年8月号から2004年8月号まで、およそ1年にわたって連載された。
現在単行本がマガジンハウスから、文庫本が新潮社より刊行中。
- ■原作者:髙樹のぶ子(たかぎ・のぶこ)
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1946年、山口県防府生まれ。山口県立防府高等学校、東京女子大学短期大学部教育学科卒業。
出版社勤務を経て、80年に「その細き道」で作家デビュー。
84年「光抱く友よ」で芥川賞受賞。
以降、94年「蔦燃」で島清恋愛文学賞 、95年「水脈」で女流文学賞 、99年「透光の樹」で谷崎潤一郎賞 、
06年「HOKKAI」で芸術選奨文部科学大臣賞など数々の賞を受賞。
2001年より芥川賞選考委員、05年より九州大学アジア総合政策センター特任教授も務める。
2008年10月より、日経新聞誌上にて大人の恋の物語「甘苦上海」を連載中。
2009年には紫綬褒章を受章 。
著書 | |
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1983年 「その細き道」 1984年 「光抱く友よ」「寒雷のように」 1985年 「波光きらめく果て」「街角の法廷」 1986年 「星夜に帆をあげて~さつきさん物語」 1987年 「陽ざかりの迷路」 1988年 「花嵐の森ふかく~さつきさん物語」「虹の交響」「熱い手紙」 1989年 「ゆめぐに影法師」 1990年 「時を青く染めて」「ブラックノディが棲む樹」「霧の子午線」 1991年 「哀歌は流れる」「サザン・スコール」「フラッシュ・バック-私の真昼」 1992年 「白い光の午後」「これは懺悔ではなく」「彩雲の峰」 1993年 「湖底の森」「氷炎」「銀河の雫」 1994年 「熱」「蔦燃」 1995年 「花弁を光に透かして」「別れの手紙」「水脈」「億夜」 |
1996年 「葉桜の季節」「花渦」 1997年 「恋愛空間」「彩月」 1998年 「イスタンブールの闇」「蘭の影」「サモア幻想」 1999年 「透光の樹」 2000年 「百年の預言」 2001年 「燃える塔」「妖しい風景」「満水子」 2002年 「エフォソス百恋」 2003年 「罪花」「ナポリ魔の風」 2004年 「マイマイ新子」 2005年 「HOKKAI」 2006年 「Fantasia」 2007年 「せつないカモメたち」 2009年 「甘苦上海1 夏から秋へ」 |
原作・高樹のぶ子からのメッセージ
『マイマイ新子と千年の魔法』は、アニメであってアニメではありません。
少なくともアニメらしいアニメではないのです。
人は空を飛ばず、空想上の生物は活躍しません。
現実から逃避した物語で遊びたい人は、きっと失望しますから、見ないでください。
おまけに泣きたいぐらいに古い。切ないほどに身近です。
ここに描かれている人物は、過去、現在、未来のすべてに、生きて実在しているフツウのアナタだからです。
新子の魔法は、一度かかると永遠に覚めません。覚めない魔法……なぜならスクリーンから与えられたものではなく、
見る者の心の中で、切なく懐かしく、しみじみと起きた変化であり、人の思いは時を越えて行き来できるという確かな発見だからです。
私たちはいま、大自然の危機に直面し、生き迷っています。
そんな時こそ、古い教科書のページを捲って、私達はどこから来たのかを確認するべきではないでしょうか。
そこにはきっと、未来への処方箋が隠されています。麦畑の緑の海や小川のきらめき、目に見える生と死、家族のつながり、
子供たちの背負った哀しみの影の中に……古いけれど永遠に変わらない人間の原風景の中に、処方箋を読み解く呪文が在る……。
今こそ古いものほど新しい……その発見こそ、覚めることのない魔法です。
あるいは、こうも思うのです。このアニメ世界こそが本来の姿であり、高度成長に狂った昭和三十年からの年月こそ、
日本と日本人は「物質的に豊かになれば、幸せになれる」という間違った魔法に掛けられていたのではないか。
新子は私達に魔法を掛けるのではなく、解き放とうとしているのではないだろうか。
世界は単純ではなく、生きるのは困難だけど、すべての子供たちに、自分の心の底に流れる水の美しさを知って欲しい。
千年の時を流れる小川は、現代の都会の子供にも流れているのだと。
それを教えてあげるのは私たち大人の役目ではないでしょうか。
髙樹のぶ子